リスニング力を高める勉強法「ディクテーション」。これからディクテーションを始める方がどんなことに注意したら良いか、取り組みはじめる時のポイントと、効果の上がりやすい学習の進め方を6ステップの手順に分けて徹底解説します!
目次
ディクテーションとは?
英語のネイティブ音声を再生し、聞こえてくる英文を一語一句書き取るトレーニングをディクテーションといいます。書き取りは手書きでもタイピングでもOK。
当然のことながら1回ですべてを書き取ることはできないため、同じ音声を何度も聞くことになります。この繰り返し聞くことに意味がある勉強法です。
何度も英語を聞いているうちになんとなく聞き取れるようにはなってくるけれど「何度聞いても、いつまでたっても聞き取れない部分」が必ず出てきます。その聞き取れない部分を放置してしまうと「いつまでも英語の細部が聞き取れない状態」から抜け出せないんです。
「曖昧な理解」を「しっかりとした理解」に変えることができるディクテーション。正しいやり方で進めることで、単語の細部まで聞き取ることができるようになっていきます。
ディクテーションの4つの効果
ディクテーションによる学習には4つの効果があります。
1)リスニング力がアップする
英文を繰り返し聞くため、リスニング力が向上します。書き取るために一字一句を聞き取ろうとするため、リスニングの集中力が高まるからです。英語特有の音のつながりや音の変化、英語本来の音が聞き分けられるようになっていきます。
2)弱点の強化が可能になる
英語を聞き取れない部分の原因究明ができます。自分が聞き取りにくい部分(音・発音)を把握し、その英語の発音を理解することでリスニング力アップに繋がります。
聞き取れないところをリッスン&リピートで口慣らしをしていくと、正しい音で発音できるようになり、自分が発音できるようになった音は聞き取ることもできるようになるんです。逆に自分が発音できない音は聞き取れないということ。まずは自分が聞き取りにくい弱点を認識することで、そこを強化する機会ができリスニング力が格段にアップしますよ!
3)英語の推測力がアップ
聞き取れなかった単語を文脈から推測したり、リスニングしながら次にどういう単語が出てくるか推測できるようになります。この力はTOEICや英検でも必要になってくるスキルです。特にTOECではこの推測力が大事なので目指している人はそこを意識して取り組むと良いかもしれません。
4)英語力が全体的にアップ
聞き取れなかった部分を内容から推測したり文法知識でカバーしたりするので、全体的な英語力アップに繋がります。
英語は音が消えたり弱く読まれる部分がありますが、そういった聞き取りにくいところも文法知識や内容から推測することでカバーできるので、文法や英語表現のおさらいにもなって結果的に英語力そのものが上がっていくんです。
ディクテーション学習の進め方6ステップ!!
ディクテーションは、「実はやってみたけど効果が上がらなかった」という声も一定数聞こえてきます。なかなか根気のいる学習法なので、少しだけかじってみて途中で諦めてしまう人も多いのでしょう。
ですが中途半端に取り組んでしまうと効果が出ずもったいないです。せっかくやるからにはきちんと効果が出るやり方を事前に知ってから取り組むのがベストです!
ここではディクテーション学習を6ステップに分けて、学習力が最大限になる効果的なやり方を解説します。
6ステップのうち、前半(4STEP)と後半(2STEP)に分かれています。前半4STEPができるようになったら後半の2STEPへと進んでいきましょう。
ディクテーションSTEP① 素材を1回聞いて概要をつかむ。
まず英文素材は長すぎいなものを選びましょう。30秒〜1分ほどで読めるものがベスト。例えばTOEICならパート3、会話問題。スピーチは1段落のみと決めておくと良いです。
ディクテーションSTEP② 何度も聞いて書き取る。
英文を聞いたら、何度も繰り返し聞いて書き取ります。(手書きでもタイピングでもOK)
スペルミスは気にしなくて構いません!スペルがわからない箇所や、単語として聞き取れない箇所は、カタカナで書き取ってもOKです。ただしこの時、聞こえた通りに書くことがポイントです。
ディクテーションSTEP③ 聞きとれない部分は推測して書き足す
英文の中で、あまり重要でない部分は弱く読まれたりして聞こえづらいものです。繰り返し聞いても聞き取れない部分は、前後の内容や文法の知識から推測して書き足していってください。
ディクテーションSTEP④ ステップ②と③を何度も繰り返してから「答え合わせ」
ステップ②とステップ③を何度か繰り返して、これ以上書き足せない!というところまでやったら音声スクリプトを見て答え合わせをしましょう。懐かしの赤ペン先生、赤ペンできちんと書き出して、聞き取れなかった箇所を特定しましょう!ちゃんと答え合わせができるように、スクリプトがある音声を選ぶ必要があります。
ここで重要なことは、自分の間違いの原因を分析することです。
考えられる間違いの原因として挙げられるのは、
・未知の単語・表現・熟語・フレーズだった
・知っている単語・熟語だったが発音が自分の認識と違った
・文法知識が曖昧だった
・冠詞、複数形のs、前置詞等が抜け落ちていた
・リエゾン(音のつながり)による音の変化が聞き取れなない(この場合、自分で何度も発音を真似しながら改善していくことがベスト!)
・スピードに追いつけず聞き逃した
自分はどういった原因で書き取れなかったかをしっかり把握することが大事です。ディクテーションにおいて赤ペン訂正部分は宝の山!!と、とらえてください。自分の苦手部分を特定し克服するチャンスです。
リスニングの重要なポイントは
【自分が出せない音は聞き取れない=自分が発音できれば聞き取れるようになる】
です。
自分の弱点を克服するにはまず弱点を知っておかなくてはいけません。そのための赤ペン先生タイムを必ず作ってくださいね!
ディクテーションのSTEP⑤ 音読系トレーニング
STEP①〜④で間違えた部分に注意しながら、音声と同時に声を出して読むトレーニングです。
・オーバーラッピング(スクリプトを読みながら英語の音声と自分の発音を重ね合わせながら行う練習法)
・テキスト付きシャドーイング(英語を聞きながらその音声を追いかけるように発音する通訳訓練法)
などで鍛えていきます。
ただテキスト通りに読むのではなく、聞こえた通りに読むのがポイントです。聞こえてくる音声と同時進行で読み上げていきます。
自分が間違った部分について、書かれている文字と英語の音を一致させていき、声に出しながら体で覚えていきます。
「自分はこういうふうに発音すると思ってたけど実際はこう読まれてるんだな〜」と、音と文字のギャップに気づくことが大事です。聞き取れない音を特定して、実際はこう読まれているんだな、と把握しながら体で覚えていきましょう。
ディクテーションのステップ⑥ 最後に全文を聞く
英文を端から端まで全部聞き取れたら完成です!
ここまで来たら、最初に聞いた時よりも英語がクリアに聞こえているはず。全文を2回3回と繰り返し聞くことが重要です。端から端まで全部聞き取れるように意識を高めていきましょう。それがゴールです!
全部聞き取るのは難しかったとしても、最初の時よりもたくさん聞き取れるようになっていることを実感して終わらせるようにしましょう!
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このようにディクテーションは、前半(4STEP)+後半(2STEP)に分けて段階的に進めていくと非常に学習効果が出やすいです。挫折してしまう人の中には前半だけやっていて後半をやらない人が多いんです。ただひたすら書き取って、「もうこれくらいでいいかな〜!」と終了させてしまっては非常にもったいないです。せっかくそこまでやったなら、赤ペンで答え合わせ→音読まで進んで完成させましょう!
どんな勉強法もそうですが、正しく効果的なやり方を身につけることが大事です。ディクテーションも同様で、手順通りに進めれば必ず上達のスピードを早めることができます。
レベル別ディグテーションの取り組み方
ディクテーションには2種類のやり方があります。初心者さんにおすすめなのは「穴埋めディクテーション」。中級者さん以上におすすめなのが「全文ディクテーション」です。
初心者さん向け:穴埋めディクテーション
文章を聞いて抜けている単語を書き取るトレーニングです。全文を書き取るより簡単なため初心者向きです。ディグテーションのハードルが高く感じる人はまずはここから始めてみましょう!
文章のところどころにカッコや線がある教材を使うのがおすすめですよ。(例:「英語リスニングのお医者さん」など)
↓ こんなふうに穴埋め式になっているものがおすすめです!
中級者さん以上:全文ディクテーション
全文書き取りはなかなか難しいですが中級者以上ならぜひトライしてください。
最初は長い英文ではなく、30秒~1分ぐらいの短めのものにしておいて、ハードルを低く始めてみると長続きしやすいですよ。
取り組みのコツ:毎日やろうと思わない
ディクテーション学習は時間がかかります。労力も使います。なので結構疲れます(笑)
いきなり毎日やろうと思わないで大丈夫です!もちろん毎日やるに越したことはないですが、続けることのほうが大事なので、ゆるりとした頻度で始めてみるのがおすすめです。仕事や学校で忙しい皆さんでしたら1週間に1回取り組むだけでも相当力がつきますよ。週1も厳しいようなら1ヶ月に数回でも良いです。
毎日たくさんやるよりも、1回やった後の振り返りの方が大事。聞き取れなかった箇所を特定してなぜ聞き取れなかったのか、間違ったのかを特定すること。しっかり1つの英文で取り組んで答え直し、見直しをすることが大事です。
英文は何回聞いても大丈夫。むしろたくさん聞きましょう!最初は聞き取れない箇所がたくさんあっても大丈夫です。回数を重ねるごとに、前回の自分よりも聞き取れる箇所が増えていきます。前回の自分よりも進歩しているところに注目しながらモチベーションを保って臨みましょう!
まとめ:自己流NG!自分のペースで6ステップを忠実にこなしリスニング力をアップしよう
ディクテーションを始める時はいきなり高い目標を立てずに、自分のできるペースで進めていってくださいね。そして6ステップに忠実に進めていくことで、リスニング力アップの効果を必ず実感できるようになります。この記事がこれからディクテーション学習を始める人のお役に立てたら嬉しいです。
こちらの動画でも詳しく解説していますのでぜひ見てくださいね🎵
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WRITER この記事を書いている人
MAKI
3ヶ月で必ず目標達成をさせる英語コーチ。オンライン(Zoom)で英語コーチングプログラムを提供。世界でもっとも認知度の高い国際的英語指導資格(ケンブリッジCELTA)を持地、1000人以上の英語指導経験から、お一人お一人にあった英語学習戦略を組み立て、徹底サポート。自身が「英語が話せない」「TOEIC490点」「長い英語コンプレックス」という状態から、ほぼ独学で、TOEIC960点、英検1級、通訳・翻訳をこなすスピーキング力を身につけた逆転の女王(笑)へ!「英語が苦手!嫌い!」という学習者の気持ちが熟知し、1日も早く英語マスターへと導くお助けマンです。
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