2024年に、英検の形式が一部リニューアルします。英検勉強中の世間の皆さんも、私の受講生さんも非常にザワザワしています。
そこで、①英検の内容がどんなふうに変わるのか②どのくらい難しくなるのか?③勉強する上での対策方法、この3点を英検側の見解も交えながらわかりやすくまとめてお伝えしたいと思います!
目次
英検のリニューアル、どこが変わる?
2024年に、英検3級以上の級(1級、準1級、2級、準2級、3級)において、一部新たな形式の出題が加わり、試験内容がリニューアルします。
私のところにも、
「やっぱり難しくなるんですか?」
「将来、準1級・1級を受けたいんだけど、どんな力をつけておいた方がいいですか?」
など、受講生の皆さんから様々なご質問をいただきます。
そんな疑問・不安にお答えするべく、そしてどんな心構えで新式の英検にのぞめば良いのかを詳しくお伝えします。
まずは試験内容の変更時期や、級ごとに異なる変更内容を具体的にまとめてみました。
英検リニューアルの移行時期
実際に試験内容が変わるのは2024年の第1回、6月の試験からです。2024年1月までは現行通りの試験です。
(※英検S-CBTは2024年5月実施分からリニューアル開始予定)2024年1月の受験を目指している人はひとまず今まで通りの勉強で大丈夫です。
ただ、そのあとにも更に次の級を受ける時にはリニューアルされた試験内容で受けることになりますので、今後のことも見据えてぜひこの記事をお役立てくださいね。
級によっても違う試験内容の変更点
まず大きな変更点として、英作文が1題→2題に増えます。これは1級〜3級に共通した大きな変更点と言えます。更に、各級ごとに下記の内容が試験に追加されます。
- 準1級 :「要約問題」の追加、および二次試験で「質問の前に話題導入文」を追加
- 1級〜2級 :「要約問題」の追加
- 3級、準2級:「Eメール問題」の追加
各級ともに今ある英作文問題が増えた上に、上記が追加されるということです・・!
表をみていただくとわかる通り問題の追加に伴い、凖2級〜1級ではリーディングや語彙問題、長文問題の設問数が一部削減されます。
とはいえ「勉強が大変になる!」という事実は変わらないので受験者の皆さんは正直戸惑ってしまいますよね。でもあまり不安にならないでください!今回の改訂には、ただ学習が大変になるというだけでなく、ちゃんとメリットもあると思っています。
もちろん、新しいテスト内容が導入されるのでこれまでの学習に加えて新たな対策が必要になってくることは間違いありません。でも、しっかり対策すればできないことではありません。
各級の試験変更内容をもう少し詳しく説明しながら、対応策についても具体的に解説していきます。
英検リニューアル:英作文の追加
3級以上の全ての級で、英作文問題がこれまでの1題→2題に増えます。増えると聞くと、単純に大変!と思いがちですが、あながちそうとも言い切れません。
これまでのように1題だけだと、自分にとって苦手なテーマが出題された場合、ダメージが大きいからです。
理想的なのは「どんなテーマがきてもちゃんと書けるライティング力」。ですがライティング問題には相性というものがあるので、書きにくいテーマだと加点しにくく苦労することがあります。
医療やテクノロジーが苦手、経済が苦手など、人によって様々。
そんなふうにたった1題の問題との相性が悪かったために英作文が壊滅的な結果になることを防ぐ意味でも、ライティング問題が2題に分散されることによりリスクも分散されるというわけです。
さらに、これまでライティング1題で一次試験の全体の配点の1/3(33%!)を占めていたことを考えると、2題に分散されたのは受験者にとってもありがたいことでは。
英検側も、問題との相性に左右されずライティング力・英語力がより評価されやすい試験内容に変えようとしている、とも取れますね。
英検1級、準1級、2級の試験変更内容と対策
1〜2級では英作文が1題→2題に増える他に、要約問題が加わります。
要約問題の追加
要約問題が苦手な人は多いです!気持ちはすごくよくわかります。でも、あまりやったことがないから苦手だと感じるだけで、やり始めると案外一番点が取れる問題だったりもするんです。
要約問題はライティングですが、読解力も必要になってきます。
試験では3段落ある問題を読んだ上で要約するので、読む力があることも前提になってくるからです。読めて理解できる力があるからこそ、書くことができるんですね。
つまり書くスキルのみならずリーディングスキルもセットで必須になってくるわけです。
特に準1級・1級ではライティング試験における読解力が非常に問われてきます。
要約問題の攻略方法
今2級を受けていて、将来は準1級や1級にもチャレンジしたいと思っている人にもおすすめなのが、長文を解くときに声に出して日本語で要約を言ってみること。
パラグラフリーディングといって「この段落で言いたいポイントはこれ」「つまり、全体としてはこういう内容」と理解して、自分の言葉で説明する練習です。
文章を読んで文脈を理解し、「つまりこういうこと」と自分の言葉で説明できること。内容理解力とアウトプット力をセットで磨きましょう。
最初は苦手に感じるかもしれませんが、やってみれば意外と、自由英作文よりもやりやすいと感じるかもしれません。
要約問題が追加された背景
今回の英検リニューアルでは時代の流れや、英検が国際的な英語資格試験に寄せてきたという影響もあるようです。
例えばTOEFL。TOEFLにも要約問題が出てきます。ただし、TOEFLはリスニングで、長文を聞いて自分の意見を要約するというもの。これは結構大変なのですが、英検の場合はリスニングではなく長文を読んで(リーディング)要約するので、リスニングが苦手な人にとってはちょっとホッとできるところかもしれません。
また、大学受験での外部テストとして使うにふさわしい形に変えようとしているという意図も感じます。英語の要約問題は国立大学の二次試験でも採用されていて、実は東大でも要約問題は30年前からずっと出題され続けています。
すでにTEAP(※英検協会と上智大学が共同で作った試験で英検にも似ている)のライティング試験には要約問題は出ているんです。
今回の英検リニューアルによって、TEAPの勉強をしている方にとっては英検の学習両立が、よりやりやすくなりますね。
準1級の二次試験では質問前の導入文も追加
準1級では英作文が1題→2題に増え、要約問題が追加される上に、二次試験における「受験者自身の意見を問う質問」の前に「話題の導入文」が追加されます。準1級が一番追加項目が多いですね!ただしその分、他の項目では問題数が削減されます。
大問1の単語問題では7問削除され、大問3の選択問題では3問削除、合計10問の削除です。だからと言って・・やはり楽にはなりません(笑)問題が減った分、難しくなることが予想されるからです。例えば選択問題なら、より簡単な問題から削除されていく可能性があります。
でも嘆かないでくださいね!コツコツ積み重ねれば試験は突破できます。
二次試験での「受験者の意見を問う質問」の前に「話題の導入文」が追加される、ここの部分についてもう少し詳しくお話しします。
例えば・・・、
質問例:先進国は発展途上国をもっと助けるべきですか?
という質問があったとして、この質問の前に
質問の前の導入文例:今や豊かな国と貧しい国の格差はどんどん広がっています。
のような文章を前置きとして持ってきて、その上で質問されるのです。
質問の前に長めの文章を追加することで、質問を聞き取るリスニング力を試す狙いか?と思われます。これはさほど大きな変化ではないとは思いますが、英検公式サイトにも問題例が掲載されていますので参考にしつつ事前に練習しておくと良いでしょう。
英検3級、準2級の試験変更内容と対策
他の級と同様に英作文は1題→2題に増えますが、このほかにEメールの問題が追加されます。Eメールの問題を追加した背景として、これもやはり国際的な英語資格試験の影響もありそうです。
IELTS(イギリスの試験)の ジェネラルのところにもEメール問題が出てきます。現代では必須のスキルとも言えますよね。
Eメール問題の対策
Eメール問題は、まずは問題のEメールに書いてある内容を正しく読めてこそ正しい返信ができます。ここでも書くスキルと読むスキルはセットで必須になってくるわけです。
実はEメール問題は書きやすく、対策本で練習すれば必ずできるようになるので恐れなくて大丈夫です!慣れれば自由英作文よりもやりやすいかもしれません。
- メールの内容をしっかり読んで理解できるか
- その上で質問文が作れるか
これがポイントです。
3級、準2級は試験時間が少し増える
準2級と3級は、問題が増えることで試験時間も少し延長されます。
<準2級>現行75分→80分に
< 3級> 現行50分→65分に
安心して挑んでくださいね!と言えるほどには長くなっていないのですが(笑)。
上記を参考に、時間配分をしっかり考えてみてくださいね。
大事!英検における時間配分
準2級と3級は、問題が増えた分テスト時間も延長されますので少し安心ですね。とはいえ問題自体は難しくなりそうなので油断は禁物です。
2級〜1級についてはテスト時間はこれまでと同様です。
その分、一部の問題数を減らすという対策はされますが、おそらく減らされる問題は比較的簡単なものが対象になりそうなので、問題が減ってもそのぶん難易度はあがり、こちらも油断はできません。
どの級も時間との勝負になることは変わりません。一つの問題に時間をかけすぎず、また本番で焦らないためにも、練習の時から時間配分をしっかり行っていきましょう。
新たに追加される要約問題、Eメール問題、スピーキング問題の出題例が英検公式サイトにも掲載されていますのでぜひ練習としてやってみてくださいね!
【英検協会・試験改訂の狙い】一問の格差を縮めるため?
今回英検の試験内容をリニューアルした背景として様々な要因があげられます。
1問当たりの点数の差を縮めるため
今までライティング1題で一次試験全体の配点の1/3(33%)を占めていました。
例えば1級だったらリーディング41問分の点数とライティング1問の点数が同じ、ということです。
ライティング問題の点数を取れたら、リーディングなどの問題があまりできていなくても受かってしまうという、ある意味異様な状態でした。これを是正するためにも改正されたと思われます。
ライティング問題には相性もあるので、問題が1問だけというのはリスクが大きいですからね。リニューアルされた英検テストでは、例えば準1級〜1級なら自由英作文であまりうまく書けなかったとしても要約問題で書けたらその分を補える、などリスク分散の意図もありそうです。
コミュニケーションスキルを重視している。
Eメールの返信スキルもコミュニケーション力です。相手が述べたことに対して相手への質問を返す力。実生活やビジネスでも必要不可欠なコミュニケーションですよね。
要約問題についても、自分の考えを自分の言葉で伝えるという、読解&アウトプット力、これもまさにコミュニケーションに必須のスキルです。
時代に合わせた総合的な英語力を求めている
今や英語も単なる語学力だけではなく、目的や場面に応じて必要とされる思考力・判断力なども求められています。話す・書く・聞く+ 理解する力・考える力・伝える力。そういったこれからの時代に必須の統合的なスキル取得を反映した出題形式の変更ということのようです。
問題を難化して受験者をふるいにかけている・・?
削除されるテスト問題として、簡単な問題が削減されるのではという予想ができます。
より難しい問題に絞り、受験者をふるい落とし、より高い語彙レベルを求めるようになるのでは?あくまでもこれは私の予想なのですが
いずれにせよ英検側も、現代社会に即したより総合的な高い英語スキルを求めていることに間違いありません。
英検のリニューアル、実は受験生にとってメリット!?
ほとんどの受験生が「問題が増えて大変だ〜!」と感じていると思います。ですが、「リニューアルした英検を通して4技能をよりバランスよく学べるので結果的に受験生にとってはプラスなのです。」と、一般財団法人実用英語推進機構代表理事も言及されています。
英検が今回リニューアルを決めた狙いをみてもわかるように、社会で求められる総合的な英語力を伸ばす目的があることがわかります。「受かること」が目的ではなく、合格した後にいかに自分の生活にも役立てていけるかが大事ですよね。
実は英検の問題形式が変わったのはこれが始めてではなく、過去には無かった新たな級が作られたりもして、時代とともに変化してきました。2025年には準2級と2級の間に新たな級が新設されます。新たな級の新設は31年ぶりとのこと。
変化があると学習者は大変になるかもしれませんが、英検側も時代に合わせて最適な技能を身につけられるように進化していると思うと、むしろ心強く感じます。
旧式・新式どっちも対策!【声出しパラグラフリーディング】
2024 年1月までに旧式のテストを受ける予定の人も、ゆくゆくは次の級をリニューアルされた英検で受けることになると思います。
そういう人にもおすすめしたいのが、旧式のテスト対策をしながら、新式の勉強対策にもなる一石二鳥の勉強方法。
長文を解く時に、読んだら声に出して日本語で要約を言ってみましょう。同時に、パラグラフリーディングに取り組んでほしいと思います。
第一段落で言いたいことはこれ、第二段落ではこういうふうに展開して、つまり全体としてこんな話なんだよね。と理解して自分の言葉で声に出して説明するんです。将来の対策に役立つのみならず、今の試験の長文読解の力をつけるのにも役立ちます。
こういった練習を今からしておくと、次の試験をリニューアルバージョンで受ける時にも、恐れずに入って行きやすいですよ!
まとめ
英検がリニューアルされると聞いて不安に感じた方も多いと思いますが、どこがどう変わったのか、それに対する対策ポイントは何かをしっかり押さえていけば、怖がることはない!と思っていただけたのではないかと思います。つい「難しくなる=大変になる」と思いがちですが、英語学習者にとってより深い勉強ができるようになる、むしろ良いチャンスととらえることもできます。1月に駆け込みで受験する人も、リニューアルした英検で受験する人も、本記事が参考になれば幸いです。
今回の記事も動画でも詳しく解説していますのでぜひご覧くださいね!
↓↓↓
PICK UP!
時間がない人ほど伸びる!
e-LIFEWORKの短期集中英語学習
WRITER この記事を書いている人
MAKI
3ヶ月で必ず目標達成をさせる英語コーチ。オンライン(Zoom)で英語コーチングプログラムを提供。世界でもっとも認知度の高い国際的英語指導資格(ケンブリッジCELTA)を持地、1000人以上の英語指導経験から、お一人お一人にあった英語学習戦略を組み立て、徹底サポート。自身が「英語が話せない」「TOEIC490点」「長い英語コンプレックス」という状態から、ほぼ独学で、TOEIC960点、英検1級、通訳・翻訳をこなすスピーキング力を身につけた逆転の女王(笑)へ!「英語が苦手!嫌い!」という学習者の気持ちが熟知し、1日も早く英語マスターへと導くお助けマンです。
COMMENT