「シャドーイングが難しくてできないんです！」というお悩みをよく聞くことがあります。シャドーイングは難易度の高いリスニング練習法ですが、シャドーイングができないと感じるのには様々な原因があります。漠然と「難しくてできない」と思い込んでしまう前に、シャドーイングができない具体的な原因を知り、その対策方法を知ることでシャドーイングの壁は乗り越えることができます。本記事ではシャドーイングができない５つの原因と、原因別の具体的な解決方法をお伝えしていきます！

シャドーイングとは

まずシャドーイングとは、会議通訳者向けの基礎訓練として通訳養成機関やスクールで取り入れられている、通訳者の訓練方法です。

英語音声を聞きながら追いかけるように音声を真似て口に出していく、とても高度な英語リスニングのトレーニング方法です。「シャドー」という言葉通り、聞こえてくる英文の後を影のようについて発声していく練習法です。

１つのセンテンスを聴き終わってから同じ内容を繰り返し言うリッスン＆リピートとは違い、1つのセンテンスが終わるのを待たずに、音声を聞きながらほぼ同時に全ての語を再現して復唱して行きます。

聞きながらほぼ同時に復唱するシャドーイングは「インプットとアウトプットを同時にするトレーニング」なので、慣れるまで時間はかかりますが、回数を重ねていくことでリスニング力のみならずスピーキング力を含めた英語の総合的な力を伸ばすことができます。

あなたがシャドーイングができない５つの理由

シャドーイングは確かに高度で難しいトレーニングではありますが、できないと思ってしまうのには様々な理由があります。逆に言えば、自分ができない理由をしっかり認識して、一つ一つ対策しクリアしていけば必ずできるようになるんです。

シャドーイングができない理由は主に５つあります。

①教材のレベルが合っていない
②使用している音声のスピードが速すぎる
③そもそもシャドーイングする回数が少ない
④「できない」部分にフォーカスしている
⑤できない音を放置している

あなたにはどの理由が当てはまっているでしょうか？当てはまる理由は１つではなく複数あるかもしれません。

できない原因に一つ一つ向き合って対策すれば必ず解消できます。それではできない理由別の具体的な対策を紹介していきます！

必ず克服できる：できない理由別の解決方法

シャドーイングが難しくてできない理由はなんでしょうか？これからご紹介する対策方法を読みながらご自分のシャドーイングを振り返ってみると、思い当たるところがきっとあると思います。ぜひこれからの練習で実践してみてください。

できない理由別対策①教材のレベルが合っていない

シャドーイングができない！と感じてしまう原因の最も大きな理由はこれです。自分に合った教材を使えていない人が多いのです。もしかしたら難しい題材やスピードの早い音声で練習してしまっていませんか？

自分に合ったレベルの教材を選ばなければシャドーイングはつまづいてしまいます。

自分に合ったレベルの教材とは「読んで８〜９割がた中身が理解できる内容の素材」です。そして音源は早すぎないナチュラルなスピードのものを選ぶことがポイントです。

もう少し深掘りしていきましょう。

内容・題材が難しすぎるのはNG

まずは単語です。知らない単語はいくら聞いても知らないままです。知らない単語がたくさんある音声素材を選んでしまうと、そもそもシャドーイングはできません。知らない単語がほぼ無い、全て理解できる英文素材を選びましょう。ちょっと簡単かなと思えるくらいでちょうど良いです。もしわからない単語があればあらかじめ調べて理解してからシャドーイングを始めましょう。これはとても重要です！

構文が理解できていない英文はNG

文法や文の構造を読んで理解できないものは、聞いてももっと理解できません。自分がスラスラ読めるレベルの文章を選ぶことが大事です。もし、どうしてもシャドーイングしてみたい難しい英文があるのなら、まず文法の知識や理解度を上げていく必要があります。シャドーイングをする前に構文を読み解く力、文法力を勉強してしっかり身につけてから行いましょう。

専門的な英文はNG

日本語でも難しい文章が英語でわかるわけがありませんよね。英語の上級者でも、例えば医学的な内容の文章だったり法律や経済の難しい話になると、日本語で読んでも難しいと思います。このように日本語でも理解しにくい専門的な文章素材はシャドーイングに向いていません。

これらの理由から、シャドーイングの素材選びにおいては、英語学習者向けの教材などの音源を利用するのがベターです。

シャドーイング練習用の本もたくさんありますが、内容をしっかり確認した上で自分の英語レベルに合うものを選びましょう。英検やTOEICなどを勉強中の方であれば、そういったテキストの音声などを利用するのもおすすめです。

できない理由別対策②スピードが速すぎる

シャドーイングができないのは、使用している音声のスピードが早すぎるのかもしれません。映画やスピーチなどの生英語はそもそも英語が理解できる人向けのものなのでスピードが早く、よほど上級者でない限りシャドーイング素材として使わないほうが良いです。スピードが早すぎる音声はシャドーイングに向かないのです。

「*TEDのシャドーイングが難しくてできない！」なんていう声も聞いたことがあります。
それはそうです。TEDは難しいです！（笑）TEDはそもそも英語がわかる人向けに話しているので早口ですし、生きた生英語なのでよほどシャドーイングが得意だったり英語上級者でない限り、おすすめできません。英語学習者向けの教材でやりましょう！

初心者向けの英語教材の音声などを使い、スピードがあまり早くないものを選んでくださいね。

（*TEDとは「Technology Entertainment Design」の略で、アメリカ ニューヨークに本部を構える非営利団体。世界的な講演イベントを開催しており、その講演を視聴できる動画サイトや動画アプリがある）

もしどうしてもこの音声を使ってシャドーイングをしたい！というものがあれば倍速アプリ（再生アプリ）を使ってスピード調整してやってみましょう。ゆっくりのスピード（0.7倍〜0.9倍速くらい）に落としてやってみると良いですよ。

そしてゆっくりのスピードでついて行けるようになってきたら元のスピードに戻す、という手順でやってみてください。

再生アプリはAudipoなどがおすすめです。Audipoの使い方や英語学習への活かし方はこちらの記事をご参考にどうぞ！

↓↓↓

再生アプリ【Audipo】英語上達に効果的な理由と使い方を解説！

できない理由別対策③シャドーイングする回数が少ない

シャドーイングができない！と思っている人の中には、そもそもシャドーイングをやっている回数がまだまだ少ない可能性が大です！一つの題材を何回くらい繰り返したでしょうか？

ある素材でシャドーイングしようと思った時に、１〜２回やっただけでパーフェクトにシャドーイングできたらそれはネイティブです（笑）最初の数回はなかなかうまくいかなくて当然なんです。

シャドーイングは中・上級者向けのトレーニングですが、中上級者であってもシャドーイングが初めての人は最初はなかなかできないもの。やればやるほど上手になっていくものなので始めの数回はできなくて当たり前！と思ってください。
ですので、これから回数を重ねていけば良いだけなんです。

この時、次々に新しい文章に取り組んでいくのではなく「これ！」と素材を一つ決めたら同じ教材（同じトピック）でターゲットを絞って徹底的に繰り返しましょう。100回繰り返すことを目標にしても良いくらいです。

いろんな題材を数回ずつやるのではなく、一つの題材で何十回と回数を重ねることが大事です。そして一つの題材を完璧にできるようになってから次の題材に進んでくださいね。

できない理由別対策④「できない」部分にフォーカスしている

マインドの問題になりますが、フォーカスの力は大きくて「まだできてない、まだできてない」とできていない部分にばかりフォーカスしてしまうと、できないのスパイラルにハマってしまいます。心理的な問題は意外と大きいものです。完璧主義者の人ほど陥りがちかもしれません。

コップに水が半分入っているときに「半分も入っている」と思うか「半分しか入ってない」と思うか。その捉え方次第でその後の自分の行動が変わっていきます。これは有名な例えですよね。

シャドーイングも同じで、「できない部分」にフォーカスするのではなく「できるようになった部分」にフォーカスすることが大事で、これは英語に限らずなんでもそうです。

最初からパーフェクトにやるのは無理なので、まだこれだけしかできないと思うのではなく、前回よりできているところにフォーカスしましょう！

全体的に見たらまだまだでも、前回よりは少し上手になっている。３回目の時より５回目、１０回目の方が少しできるようになっている。そのできるようになったところにフォーカスしながら、今自分は階段を登っている途中なんだという気持ちで取り組んでみてください。

回数を重ねていけば少しずつ、必ずできるようになっていきます。最初は聞き取れた英文をポツポツと拾っていける程度で大丈夫です。回数を重ねていきながら、少しずつ拾える単語や文章が増えていきます。少しずつでも良いので、「できるようになった部分」「成長した部分」にフォーカスしてモチベーションを保っていきましょう！

できない理由別対策⑤できない音を放置している

何度もシャドーイングをしているうちに、どうしてもうまく発音できない、言えない部分が必ず出てきます。そこを放置したままひたすら回数を繰り返してもできないまま。

発音が苦手な音がたくさん入っている文章のシャドーイングは難しいです。そういう場合は基本的な発音練習をしてからシャドーイングに取り組みましょう。

まずどの音が口から出ていないのか、つまり聞き取れていないのかを明らかにします。苦手な音を認識することが入り口です。そしてその音を集中的に繰り返し発音して口慣らしをしましょう。しっかり発音できるようにマスターしてから、またシャドーイングに戻りましょう。

自分のシャドーイングを録音しよう

自分の苦手な音、なかなか言えない音を特定するためには自分のシャドーイングを録音するのが効果的です。自分のシャドーイングを聞くことで、どの音が口から出ていないのか（聞き取れていないのか）が明らかになり認識しやすくなります。それをスクリプト（台本）にメモしてしっかりマスターしましょう。苦手を決して放置しません。

特に英語特有のリンキング（単語と単語の間の音の繋がり）や音が脱落するところなど「音の出し方のルール」を知らないと自分でも発することができないので、部分的に音源を聞きながら何度もリピートして徹底的に口慣らしをしましょう。

オーバーラッピングやテキスト付きシャドーイングを挟もう

シャドーイングの繰り返しの合間に、オーバーラッピングやテキスト付きシャドーイングを挟むのがとても効果的でおすすめです。

・オーバーラッピングはスクリプトをみながら音源と合唱するように読んでいくこと。
スクリプトがあると読みやすいし英語のリズムも身についていきます。

・テキスト付きシャドーイングは、普通はテキストをみないでやるシャドーイングをあえてテキストを見ながらやることです。自分の発する音が正確に出ているか確認しながら行うことができます。

このようにシャドーイングの負荷を少し下げたオーバーラッピングやテキスト付シャドーイングを挟むことによって、苦手な音を言えるようにしていくことができます。とても効果的な方法なのでぜひやってみてくださいね。

そしてオーバーラッピングやテキスト付シャドーイングをしたら、最後は必ずテキスト無しのシャドーイングに戻って最終仕上げをしてくださいね！これもとても重要なポイントです。

シャドーイングは【正しいやり方】で必ず効果が現れる

ここまでシャドーイングができない理由別の克服方法を読んでいただき、シャドーイングをするにあたって正しい知識とやり方が大切だということがお分かりいただけたのではないかと思います。

シャドーイングは正しいやり方で行うことで、必ず徐々に効果が出てきます。

シャドーイングの正しいやり方

・自分に合った教材を選ぶ
・スクリプトをしっかり読み込んで内容を理解してから始める
・実際にシャドーイングをする際は何度もたくさん繰り返し行う
・テキスト付きシャドーイングやオーバーラッピングを挟む
・最後はテキストなしのシャドーイングで仕上げる

正しいやり方で行うのはもちろんのこと、挫折しないために最初からハードルを上げないことも大事です。しっかり継続できるように毎日やる時間を決めたり、その時間もあまり長すぎず１日３０分にするとか、負担にならないように設定することが長続きのコツです。

シャドーイングは難しいな・・・と挫折しかけてしまっていた人も、正しいやり方を知った今、ぜひもう一度前向きにチャレンジしてみてほしいなと思います。

シャドーイングの正しいやり方についてはこちらの記事もご参考にどうぞ🎵

↓↓↓

英語のリスニング力が劇的にアップ！【シャドーイング】正しいやり方

シャドーイングの効果についてはこちらの記事で詳しく解説しています🎵

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英語の上達に効く！【シャドーイング】６つの効果と取り組み方のコツ

シャドーイングのポイントを押さえて「できない」を「できる」に変えよう

シャドーイングができない理由と原因別の対策方法をお伝えしてきました。ご自分の「できないポイント」はなんだったのか、思い当たるところはあったでしょうか。

ぜひこれまでのシャドーイング学習を振り返ってみて、できない理由を一つ一つクリアしていってもらえたら嬉しいです。

シャドーイングは根気のいるトレーニングですが、コツコツ積み重ねることで必ず効果が現れます。地道に前向きなマインドで、上達する過程も楽しんでやってもらえたら良いなと思います。

この記事は動画でも詳しく解説しています。こちらもぜひ見てくださいね！

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