2024年度から英検問題がリニューアルされました。
準1級にも要約問題が追加されて、 対策に悩んでいる学習者さんは多いです。
そこで、要約ってそもそもどういうことなのか?また、どういうことに気をつけて要約文を作ったらいいのか?準1級を目指す人向けにポイントをわかりやすく解説します!
要約力を身につけることは読解力の底上げに繋がります。英語力そのものが上がっていくイメージを描きながら、ポイントをつかんで学習していきましょう!
目次
要約とは
そもそも要約とはなんでしょうか。
まずはここをしっかり把握しましょう。
要約とは、
・要点をとりまとめること
・内容はそのままに文を短くして伝えること
です。
要するに何が言いたいのか?を、
「この文章はこんな話なんだよ」
と大事なポイントを余すとこなくおさえながら説明してあげることです。
準1級の要約問題は、
・200文字程度の英文を、
・約60〜70文字の文字数で要約する
このようになっています。
要約問題はそれほど構える必要はなく、従来のライティングの自由英作文(意見論述)に比べると、ちゃんとコツさえつかめば点数を取りやすいです。
ですのでしっかり対策をして満点を狙っていただきたいと思っています。
そこで、要約問題攻略のために必要な2つのスキルをご紹介します。
要約に必要なスキル①読解力
文章を要約するには読解力が必要です。
ただ読解力と言っても、
・長文がスラスラ読める
・文の意味が正確に理解できる
というのはもちろんのことですが、それだけではたりません。
話の全体を見渡せるパラグラフ・リーディングが必要です。
「全体のテーマは何の話であるのか?」
を踏まえながら、
「各段落(パラグラフ)のポイントは何か?」
をしっかりおさえた読解力が要ります。
段落と段落の繋がりを読み取り、どんな流れで話が展開しているのか?
結局、筆者が言いたいことは何なのか?を正確に読み取りましょう。
「木を見て森を見ず」の読み方ではダメです。木を見つつ、森を見る読み方が大事なのです。
要約に必要な力②ライティング力
当たり前のことですが、正しく読解し、要約した文章を英語でわかりやすく伝えるライティング力が必要です。
ここで必要なのは、抽象度を上げる書き方をすることです。
要約文は短く簡潔にまとめる必要があるため、具体的な事柄を書き連ねていては要約になりません。具体的な事柄をひとまとめにし、抽象度を上て説明する力が必要です。
身近な例をあげながら、【具体】と【抽象】について簡単に説明していきます。
まず具体というのは”具体的に「絵」が浮かぶもの”です。
【具体】の例:水・牛乳・コーヒー・紅茶・ビール・・・
これら個々の具体を抽象度を上て表現すると、
「飲み物」
となります。
この「飲み物」という表現が【抽象】です。
こうして文章の中の具体的な事柄を「要するにこういうこと」と抽象化することで、文章を短くまとめることができます。
次に例文で見てみましょう。
要約例文)
①スマホでは、漢字や計算や英会話を学べるアプリがある
②子供たちは、スマホで友達と連絡を取って宿題を教えあったりできる
③スマホを通して、ITの仕組みや活用方法を学べる
この①〜③の3つの具体的な文章を、抽象度をあげて要約すると、
「スマホは子供の教育に役立つ」
このように簡潔にまとめることができます。
この時大事なのは、問題文の中から抜き出すのではなく「自分の言葉で書くこと」が求められます。
要約問題の採点ポイントは4つ
要約文はどのような基準で採点されるのでしょうか。
採点ポイント①内容(4点)
最も重要なのは、「要約になっているかどうか」です。
要約文なので当たり前のことなのですが、ここがしっかりできていることを意識しましょう。
・要約になっているか?
・きちんと余すとこなくポイントを伝えているか?
意識しながら書きましょう。
回答がちゃんと要約になっていないと判断された場合は、0点と採点されることがあります。
問題文の中から適当に単語をピックアップして並べても、きちんと「要約」になっていなければ、たとえ正確な文法で書かれていても点数は取れません。
必要なポイントをしっかり入れて作文しましょう。
採点ポイント②構成 (4点)
要約文の構成も採点基準になります。
・問題文の全体構成に沿っているか?
・ディスコースマーカーを使って話の流れを作っているか?
ディスコースマーカーとは、つなぎ・接続表現のことで、
however(しかし)
therefore(よって)
as a result(結果として)
などがあります。
接続表現をしっかり使いながら論理的な構成の要約文になっていることが好ましいです。
採点ポイント③語彙(4点)
要約文は、語彙力も求められます。
・内容に相応しい英単語が使われているか
・自分の言葉で書いているか
ここを意識して書きましょう。
抜き出した単語をそのまま使用するのではなく、しっかりパラフレーズ(言い換え)して書くことが大事です。
英検2級の問題文には”in your own words as far as possible in English(できる限り自分の言葉で英語で書いてください)”としっかり指定されています。
この条件は準2級にも1級にも当てはまると思って良いです。
自分の言葉で説明できるということは、文章の内容をしっかり噛み砕いて理解できているということです。
語彙レベルとしても、2 級〜準1級レベルの単語や語彙を使って作文できることが望ましいです。しっかり対策しましょう。
採点ポイント④文法 (4点)
要約文が正しい文法で書かれているかどうかも採点基準となります。
・正しい英文法、語順で書かれているか?
・わかりやすく伝わる文章になっているか?
正しい英文法であるのはもちろんのこと、読み解くのが難しい構成ではなく伝わりやすい文章であるかどうかというところも大事です 。
要約文なので長すぎる文章にならないように、1文を短めにまとめられるとベストです。
ーーーーーーーーーー
このように、「内容」「構成」「語彙」「文法」の4項目がそれぞれ4点ずつで、合計 16点で採点されます。
これは従来の英作文の配点と同じです。つまり、この要約文は今までの英作文と同じぐらい重要視されているということです。
ちなみに英検1級になると、配点が倍になり4項目各8点で合計32点の配点となります。のちのちは1級を目指したいという目標がある人も、先を見据えて要約問題にしっかり取り組み得点できるようにしていきましょう。
「内容」「構成」「語彙」「文法」
こ4つの観点がきちんとできているか、ここをしっかり押さえながら書く練習をしましょう。
要約力の鍛え方
要約力を養うために、日頃からどのような学習をしたら良いかのヒントをお伝えします。
英検対策の勉強中に要約もしてみる
要約文対策のために何か特別な学習をするというよりも、普段使っているる過去問、文単、英検の問題集を使うのが手っ取り早いでしょう。
わざわざ要約文の練習のために時間をさくのではなく、長文やリーディング問題などの勉強をするときについでに要約してみる、というやり方でじゅうぶんです。
その際に、問題文全文を要約する必要はなく、要約しやすそうな文章を見つけたら ピックアップして要約してみる、くらいの感じでOKです。
どんな文章が要約の練習に向いているかというと
・問題提起がされていて、解決方法が書かれているもの
・因果関係があるもの
・構成がはっきりしているもの
などです。
「リスニング練習→見直し→スクリプトを読む→ついでに要約してみる」
このようにリスニングの「ついで」という感じで、はじめは難しく考えず軽い気持ちでトライしてみてください。
パラグラフリーディングをしながら読む
要約の練習をする時はパラグラフリーディングを意識しながら読むことが ポイントです。
・ この長文は何の話なのだろう?
・ テーマは 何だろう?
・ 各段落のポイントを一文で説明すると?
・全体を通して言いたいことは?
こういったポイントを意識しながら読んでいくことで要約力に直結していきます 。
長文問題 を日本語で説明してみる。
要約するときに、まずは 日本語で説明できることが大事です。
・この文章は〇〇についての話だ
・1段落めで言いたいことは〇〇
・2段落めで言いたいことは〇〇
このように日本語で、そしてできれば 口に出して説明してみましょう。そしてそれを英語で書いてみるのです 。まずは日本語でしっかり説明できれば、それを英語にしていくことも容易になります。
ここで「口に出して説明してみる」というのがポイントで、声に出して説明できるということは、しっかり理解ができているという証拠です。
1つ前の級の長文で要約の練習をしてみる
要約文の練習をする際に難しいと感じたら、1つ前の級の文章で練習するのがおすすめです。準1級を目指している人であれば2級の長文を使って練習してみましょう。
実際に英検協会から出ている要約問題のサンプルを見ると、一つ前の級のレベル感で出題されている傾向があります。
1つ前の級はすでに合格しているのに、その級の問題を使って練習することに抵抗がある人もいるかもしれません。ですが前回2級をとってからのブランクが長い人などは、1つ前の級の長文を読むことは非常に効果的です。
準1級の長文は難しいので、2級の長文で要約の練習をしてみることで、長文読解の復習にもなります。
要約力を身につけるということは読解力に直結していきます。まずは2級の長文で要約の練習をしてみて、土台をしっかり作っていきましょう。
リスニング問題Part2で要約練習をしてみよう
要約の練習をするために特別な教材を用意しようとする必要はありません。
リスニング問題パート2の英文は、要約の練習に適しているのでおすすめです。リスニング学習のついでにぜひやってみてください。
きちんとした要約を書くまでは行かなくとも、リスニングで聞いたりスクリプトを読んで内容を理解した後に、日本語で簡単に要約してみましょう。
余力があれば日本語で要約した後は、それを英文にするところまでやってみましょう。
ライティング力の伸ばし方
これまで要約力を磨く方法について解説してきました。要約ができるようになったら次に必要なのはライティング力。ここでは書く力を身につける方法を解説していきます。
パラフレーズ力を身につける!
要約文を書くときは、言い換え可能なものは極力パラフレーズ(言い換え)して書きましょう。
そのためには、
英単語を覚える際に、「類義語」も一緒に見るクセをつけるのがおすすめです。
類義語を暗記までする必要はありませんが、日頃から類義語まで調べることで
「この単語はこういう表現もできるのだな」という気づきがあったり、また「この単語は覚えておくと使えそうだな」という視点を持って触れておくと引き出しが増えます。
効果がありますのでぜひやってみてください。
要約に役立つ英文法をおさらいしておこう
要約文を書くために役にたつ文法もおさらいしておきましょう。
例えば以下のような文法が使えます。
・分詞構文
・関係代名詞、関係副詞
・to不定詞
・接続詞や前置詞の使い方
これらの文法の中から要約文に使えそうなものはストックしておくと良いです。
例)
By~ing : ~することによって
Owing to / Due to :~のせいで、おかげで
Althogh S+V:それでも、〜
このような、アカデミックライティングでよく使うような前置詞・接続詞などは使いこなせるようにしておきたいところです。
今一度復習してみてくださいね。
要約練習はとにかく書くに限る!
ライティングは、とにかくまずは書くことです。一つ前の級の長文を使っても良いし、前述したようにリスニング問題パート2の英文を簡単に要約してみても良いです。
書いたらChatGPTに添削してもらう
自分の書いた要約文がこれで良いのかわからないというときは、 ChatGPTに添削してもらうのもおすすめです。
元の英文をChatGPTに入力して
「 準1級 レベルで○○文字前後で要約文を作ってください」
とお願いして 模範解答を作ってもらい、自分が作った要約文と見比べてみるのも良い練習になるでしょう。
TEAPの問題にチャレンジしてみる
TEAPの問題にチャレンジしてみるのもおすすめです。
TEAPとは、英検協会が大学入試のために作っている試験で、要約問題もあります。
英検2級〜準1級くらいのレベル感なので、準1級を目指している人にはちょうど良いのでぜひやってみてください。
要約力を身につけることのメリット
要約力を付けることを意識した学習には、単純に英検の試験対策だけでなく様々なメリットがあります。
要約文対策に必要な、
・パラグラフリーディングの読み方をマスターすること
・ポイント、要点を意識しながら読む力
これらを身につけることで長文の読解力が上がり、要約問題のみならず全体的な正答率も上がっていきます。
要約の学習は、 長文の読解力に直結します。そのためにも日々の学習の中でパラグラフリーディングを習慣にしましょう。
要約問題の対策をすることが、英語力全体の底上げにも繋がっていくのです。ぜひ前向きに取り組んで欲しいなと思います!
まとめ
英検の試験に向けて、要約問題のための特別な学習をするというよりは、日々の学習の中で要約対策も「ついでに取り入れる」ことでじゅうぶん力がつきます。
ポイントは、内容・構成・語彙・文法に気をつけながらパラグラフリーディングの習慣を付けることがカギです。
目先の英検準1級対策のためはもちろんですが、その先の1級へと繋がる土台にもなりますし、何より自身の英語力の底上げになります。
本記事が皆さんの英語学習のお役に立てたら幸いです。
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WRITER この記事を書いている人
MAKI
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