シャドーイングは英語を聞きながらそれを真似して発音する訓練法ですが、難易度が高い訓練法なので、自己流で行うと挫折してしまうことも。今回は、これからシャドーイングを始める人、すでに始めてみたけれど思うように上達しないという人に向けて、「効果の出るシャドーイングの正しいやり方」をお伝えします!
シャドーイングとは
シャドーイングとは、英語音声を聞きながら追いかけるように音声を真似て口に出していく、とても高度な英語リスニングのトレーニング方法です。「シャドー」という言葉通り、聞こえてくる英文の後を影のようについて発声していく練習法です。
1つのセンテンスを聴き終わってから同じ内容を繰り返し言う方法とは違い、1つのセンテンスが終わるのを待たずに、音声を聞きながらほぼ同時に全ての語を再現して復唱して行きます。
発音の強弱やリズム、イントネーション、ポーズ(小休止)の長さ、音の連結や弱化などに忠実に繰り返します。また単語一語一句ごとではなく「認識できた文のかたまりごと」に口から発していくのがポイントです。
シャドーイングは文章の意味を理解しながらやっていくのではなく「音」にフォーカスします。英語の音をできるだけ忠実に再現することに集中してリスニング力を高めて行きます。
リスニング(インプット)とスピーキング(アウトプット)を同時に行うシャドーイングは、リスニング力のみならず、スピーキング力を含め英語力全体をも高めていくことができるメリットがあり、今注目されている英語勉強法です。
シャドーイングに必要なもの
シャドーイングの練習をする前に必要な道具を準備しましょう。
<シャドーイングに必要なもの>
・英文の音声素材
音声付の英語教材や、英語のスピーチなどでもOKです。英検やTOEICなどの試験勉強をしている人はそういったテキストの音源を利用するのも良いでしょう。
・英文スクリプト
音声だけでなく英文のスクリプト(台本・原稿)も用意しておきます。
・書き起こし原稿
スクリプトのない音声を使う時は書き起こし原稿も用意しましょう。英文の確認をする時に必要です。DeepLなどのツールを使って音声翻訳するのも便利です。
・ペン(蛍光ペンや赤ペンなど)
自分が発音できていないところをマークしたり、発音の強弱や音の連結などの注意点をスクリプトにメモします。
・イヤホン
音声の聞き取りに集中するために便利なので、あるとベターです。
・ボイスレコーダー(録音できるもの)
自分のシャドーイングを録音してチェックするために使います。わざわざボイスレコーダーを別途用意しなくてもスマホに入っている録音機能でもOK!
必要なものを準備できたらさっそくシャドーイングの練習を始めましょう!
シャドーイングの正しいやり方
シャドーイングは難易度の高いトレーニングなので、自己流でやって思うように結果が出ず、挫折してしまう・・なんていうことにならないように、ぜひ正しいやり方を知って欲しいと思います。
大事なのはただなんとなくやってみるのではなく、毎回、明確な目的を持って行うことです。そして正しい手順で行えばちゃんと効果が出ます。ここでシャドーイングの正しいやり方を6つのステップに沿ってお伝えします。
①自分に合った教材を選ぶ
②教材を読んで内容を理解する
③実際にシャドーイングしてみる
④シャドーイングを3回以上繰り返したらまた教材に戻る
⑤テキスト付シャドーイングかオーバーラッピングをする
⑥テキスト無しのシャドーイングに戻る
この手順を詳しく解説していきます!
1)まずは自分にあった教材を選ぶ
まず音声として使う教材選びが重要になってきます。選ぶときのポイントは2つ!
①読んだときにほぼ理解できるもの
自分が読んで理解できない英文はシャドーイングしてもあまり効果が出ません。難しいものにチャレンジすればするほどそれを克服したときに力がつく、なんて思う方もいるかもしれませんが、それは間違いです!何回聞いても意味がわからないものは論外です。
テキストを読んでみて8割〜9割がた理解できるものを選びましょう。ちゃんと意味がわかっている教材を、くりかえし練習することがポイントです。
初級・中級者は学習教材を利用するのがベストです。上級者は*TEDからスピーチなどの素材を選んできても良いでしょう。
*「Technology Entertainment Design」の略。 ニューヨークに本部を構える非営利団体が世界的な講演イベントを開催しており、その講演を視聴できる動画サイトや動画アプリ
②英文の速度が早すぎないもの
スピードは早すぎないものがおすすめです。上級者なら速いものでも良いのですが、自分のペースで音読できるものがベター。
速さの目安としては、
・初心者…100wpm
・中級者…120~150pm
・上級者…160~180pm
このくらいがベストです。
単位を聞いてもいまいちピンとこない人もいるかもしれませんが、シャドーイングをしていてストレスを感じないレベルの速度を選べばOKです。
映画やスピーチなどの生英語はスピードが速かったり訛りがあったりするので、初級・中級くらいの方はやはり英語学習教材を使うのがベストです。
③英文が長すぎないもの
英文素材はあまり長くないものがおすすめです。いきなり長文から始めてしまうとハードルが高く挫折の原因にもなってしまいます。
英文の長さの目安として、
・初心者 1~2分
・中級者 3〜5分
・上級者 5分〜
このくらいを目安に選びましょう。
自分のレベルに合ったものを選ぶことが大事です。
2)教材(スクリプト)を読んで内容をしっかり理解する
教材を選んだら、シャドーイングを始める前にスクリプトを読んで内容をきちんと理解できているか確認しましょう。内容をしっかり把握できているという前提を確認してからシャドーイングを始めます。その前に自分の現状のリスニング理解度を認識するために、一度リスニングをしておいても構いません。
3)実際にシャドーイングをやってみる
英文を聞きながら、流れてくる英文の後に続いて、追いかけるようにスピーキングしていきましょう。なるべく遅れずに頑張ってついていきます。
イメージを掴むために実際にシャドーイングしている音声を聞いてみましょう。
(※ 音声はスティーブ・ジョブズのスピーチを使用しています。)
この音声のように、流れてくるスピーチと完全に同時ではないのですが、なるべく遅れずに追いかけてスピーキングしていくイメージがつかめたでしょうか。
とにかく聞こえてくる「音」だけにフォーカスして、途中で「ここはなんて言っているのだろう?」とよくわからない部分があっても止まらずに、とりあえず頑張って口に出してみてください。
最初の1回目は正確さや正しい意味にこだわらず、あまり考えなくて良いのでとにかく聞こえてきた音をどんどん真似して口に出していく感じです。
やってみるとわかると思うのですが1回では絶対にできないので、少なくとも3回ぐらいは繰り返しましょう!
4)3回以上繰り返したらスクリプト(テキスト)に戻る
シャドーイングを何回も繰り返し行ったあとにまたテキストに戻ります。テキストを見ながら音声も聞いて、強く読むところや、単語と単語の繋がりの部分に印をつけて行きます。
ここを強く強調して読むんだな、とか、ここは単語と単語が繋がって一つの単語のように読むんだな、など色々な発見があるはず。気づいたことはメモしましょう。
発音に関しては、例えば「want to」は「ウォント トゥ」ではなく実際の会話では「ウォナ」と発音されます。そういう部分で自分が上手に発音できなかったところや聞き取れなかったところもマークしていきましょう。
私の場合ですが、
強く読むところ・・赤ペンでチェック
単語と単語の繋がり・・黄色蛍光ペンでマーク
このようにメモしています。他にも、「th」 や「v」の発音がうまく読めていないのでそこに印をつけたり、わからなかった単語の意味を書き込んだり。
皆さんも自分にとってやりやすい方法でメモを取ってみてください。
このように「シャドーイングする→テキストを見ながら音声を聞いてメモをとる」の流れを何度も繰り返します。シャドーイングの回数を重ねるたびに新たな気づきがあると思います。どんどんメモを書き足していきましょう。
5)テキスト付きシャドーイングかオーバーラッピングをする
音声を聞きながらメモをした後は、またシャドーイングに戻っても良いのですが、私のおすすめはテキスト付きシャドーイングかオーバーラッピングをすることです。
テキスト付きシャドーイングはテキストを見ながらシャドーイングすること。
オーバーラッピングはテキストを見ながら音声と同じように、音声に被せながら読んでいくことです。
両者は似ているようで少し違います。
実際にテキスト付きシャドーイングとオーバーラッピングの違いを音声で聞いてみましょう。
まずは「テキスト付シャドーイング」から。
次に「オーバーラッピング」です。
違いが分かるでしょうか。
両者は似ていますが、シャドーイングは音声の後を追いかけながら少し遅れてついていくのに対し、オーバーラッピングの方は音声を追いかけるのではなく音声とほぼ同時に話し、遅れずについて行きます。
オーバーラッピングの方が少し難しいかもしれません。自分のやりやすい方で練習してOKです。
このようにテキスト付シャドーイングやオーバーラッピングも取り入れることで、ただシャドーイングだけをやるよりも、口から英語がでやすくなって効果も上がります。
6)テキストなしのシャドーイングに戻る
テキストをみながらのシャドーイングやオーバーラッピングを終えたら、最後は必ず「テキスト無しのシャドーイング」に戻ってきてくださいね。
そしてとにかくたくさん繰り返すことが大事です。この時、同じ素材で何度も繰り返すことが大事!できれば1つの素材で10回は繰り返しましょう。私が今まで10年以上シャドーイングをやってきた経験から、そのくらいやらないと身につかないと思います。
なかなかハードではありますよね。自分にできるかな?と不安になってきた人もいるかもしれません(笑)ですが安心してください。次はシャドーイングを難なく続けるためのコツをお伝えします。
シャドーイングに取り組むときのコツ
シャドーイングは、そもそも難易度の高いトレーニングだと始めに認識して受け入れてしまいましょう。最初からできる人はいないレベルの高いトレーニング。だからこそ、挫折しないで取り組めるようにいくつかのコツをお伝えしたいと思います。
最初から完璧にやらなくてもいい!
初めてシャドーイングをしたときに、まず1回目や2回目は落ち込むレベルだと思います。思った以上に口が動かなくて自分でもがっかりするかもしれません。
でもそれで良いんです。みんな最初はそうなので気にしないでOK。そもそもシャドーイングはほんの数回やってマスターできるモノではないのだから当然です。
同じ素材を10回〜数十回繰り返してやっとモノになってくる、そういうトレーニング。何度も繰り返しやってようやくできるようになるものなのだと、あらかじめ覚悟して取り組めば落ち込むことも少ないかと思います。
最初は聞き取れた音だけポツポツと声に出したりするくらいでOK。自分の出す声がイマイチでも気にしないで大丈夫です。回数を重ねながら、少しづつ要領をつかんでいくことができます。
同じ素材を何十回もやっていると英文を覚えてしまうこともあります。シャドーイングは覚えることが目的ではないですが、それはそれでOKです。覚えたいフレーズなどをあえてやってみるのもありですよ。
時短で効果をあげたい人にはボイスレコーダー
なるべく少ない回数でシャドーイングを上達したい人にお勧めなのは、ボイスレコーダーを使うことです。
自分のシャドーイングをボイスレコーダーで録音して、できていないところを集中的に練習します。録音した自分の音声を聞いて、モデルの声と聴き比べて自分がうまく出せていない音を丁寧にチェックしていきましょう。そしてそこを集中的にトレーニングします。こうすると少ない回数でもわりとすぐに成果が出やすいのでおすすめです!
自分の声はあえて聞かない!イヤホン必須
英語の音を聞くときはイヤホンをつけるのがおすすめです。イヤホンなしで普通にやると、自分の声と聞こえてくる音声がごっちゃになって混乱したり、自分のイケてない声が気になって気分が落ちたりするからです(笑)
聞こえてくるモデルの音声のみに集中して「聞こえてきた通りに口に出していく」ことが大事なので、あえて自分の声は聞かないようにイヤホンをつけて練習してみてください!
英語でシャドーイングする前に日本語でシャドーイング
シャドーイングの感覚がいまいちつかめない人は、まずは日本語でシャドーイング練習するのも手です。シャドーイングそのものの感覚に慣れてきてから英文のシャドーイングを開始すると良いですよ。
日本語でシャドーイングする時の音声素材は、例えばNHKの定時ニュースなどがおすすめです。アナウンサーは標準的なナチュラルスピードで話すのでシャドーイング練習に向いています。
大好きでも、お笑い芸人のコントではやっちゃだめです(笑)お笑いは早口だったりするので練習になりません。日本語でも英語でもシャドーイングするときは素材選びが重要ということです。
こんなふうに、様々なコツをうまく利用しながら、途中で投げ出さず淡々と続けていけるように上手にコントロールして頑張って行きましょう!
まとめ 〜 正しいシャドーイング方法を知ってリスニング力を鍛えよう
リスニング力が劇的にアップするシャドーイングも、正しいやり方で行うことによって初めて効果が発揮されます。自分にあった教材を選び、効果的な正しい方法で繰り返し地道に続けることで、リスニング力を高めて行きましょう!本記事が皆さんのシャドーイングトレーニングの一助になれば嬉しいです。
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WRITER この記事を書いている人
MAKI
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